「パリ・コミューンの詩人たち」

   わが兄弟たちに     

 わが兄弟たちに
   一八七一年九月八日 ヴェルサイユ牢獄にて
                  ルイズ・ミシェル

時よ 過ぎされ 日よ 過ぎゆけ!
死者たちのうえに 草よ 芽生えよ!         
生まれたばかりの権力(もの)よ 崩れされ
水よ 港から 遠く遠く 遠ざかれ

おお 深い闇夜よ 早く過ぎされ
おお 古い山よ 粉ごなに崩れ落ちろ
流刑されようが死のうが われらはまたくる
独房から 墓の中から 波の上から

兄弟たちよ われらは また戻ってくる
あらゆる道をとおって やってくる
暗闇から出る 復讐の幽霊のように
われらは 腕をくんで 戻ってくる
        
ある者は 蒼白い経椎子(きょうかたびら)を身にまとい
ある者は いまもなお血にまみれて
赤旗のしたに 顔蒼ざめはてて
脇腹は 鉄砲玉に 穴あけられて

友よ もうおしまいだ  逞(たくま)しかった者も
勇敢だった者も みんな倒れてしまった
そうしてもう 降服した者 卑怯者
裏切者たちが 這いつくばっている!

兄弟たちよ きのう わたしは見た
あなたたち 勝利した 人民の子らが
父祖たちのように誇らかに 勇ましく
マルセイエーズを歌って 前進したのを

あの凄(すさま)じい戦闘で わたしは愛した
あなたたちの 死をも怖れぬ勇気を
雷のようにとどろく 赤い 砲弾を
風にはためき ひるがえる 赤旗を