「フランスの起床ラッパ」

   薔薇と木犀草


 

                                       

 エッティアンヌ・ドオルヴ少佐はカトリックで王制主義者であった。彼はロンドンとの無線連絡の任に当っていたが、部下の裏切りによってドイツ軍の手に落ち、処刑された。 ジルベェル・ドリュはカトリックの学生で、一九四四年七月二十七日、リヨンのベルクール広場でドイツ兵のよって銃殺された。 死んだ彼のポケットからはアラゴンの「プロセリアンド」の小冊子がはみ出ていた。ギイ・モケーは一九四一年十月二十二日、シャトーブリアンで処刑された二十七名の人質のひとりで、 まだ十七歳の共産党員の学生であった・・・祖国と自由のために倒れたのは、ひとり共産党員ばかりではなく、多くのカトリック教徒も自由主義者もいたのである。 この詩は、思想と信仰はちがっていても、ともに祖国解放のために倒れていった英雄たちと、その共同の闘いへの讃歌であり、ひろい統一行動への呼びかけとなっているのである。(「フランスの起床ラッパ」解説)